ライラックの季節にはラフマニノフを

こんにちは。

市川市鬼越のピアノ教室 ノア音楽教室です。


梅雨入りが秒読みですね。

今日は、つれづれ…休憩記事です。


Facebookを見ていると、最近よく目に飛び込んでくるのが、

懐かしいサンクトペテルブルクの街とライラックの花の写真。

4月になっても雪が降るペテルブルクでは、花はとても大切な存在。

そして、白夜に向かっているこの時期は、冬の午後3時には真っ暗になってしまうこの地域の人々にとって、とても心躍る季節です。


もう、ずっとずっと昔、わたしはこのサンクトペテルブルクに短期留学していました。

延べにして4か月半という、短い時間でしたが、

わたしの人生にとって、音楽人生にとって、とても大きな存在感を持っています。


その頃のある日、バス部屋(コントラバスの生徒のための部屋で、楽器庫も兼ねています)で、呑み会(?)が開かれました。

「フミエも出るんだよ」と言われ、

ウォッカを手に、学生たちが集まってきました。


日本の大学生とは違い、働きながら通う生徒も多く、

既にオーケストラ団員となっている人、鉄道会社で働いている人、妻子持ち…いろんな人がいました。


ウォッカとおつまみが、むさくるしいバス部屋の中の小さなテーブルに並び、

彼らがポケットから小さなおちょこのようなものを出したのが、ちょっと驚きでした。


さすが、ロシア!

電車の中でビールを呑んでいる人はよくいたし、街のカフェでは、昼間でも、ウォッカ1本注文して瓶をくるくる回しているカップルもいましたっけ

(当時のロシア製ウォッカは、品質が信用できないということで、瓶をくるくる回して不純物が沈殿するのを待ってから呑む、と聞いたことがあります)。


マイおちょこにウォッカが注がれると、一気に飲み干さなくてはならないそう。

初めてのことに目を白黒させていた私に、無理に勧めてはこなかったのが、助かりました。


さて、お開きになり、1人が寮まで送ってくれることになりました。

白夜の季節ゆえ、夕方のようだったけれど、あれはいったい何時だったのでしょう。


すっかり酔っぱらっている彼と、決まったルート以外は地理が頭に入っていないわたし。

「だいじょぶ、だいじょぶ~」

と、歩き出した彼についていくしかありませんでした。


普段は、地下鉄とトロリーバスを乗り継いで、それなりにしっかり徒歩時間もあって通う道を、歩く…。

ロシアの道路は、だだっ広く、市街地ですれ違う人はほとんどありません。


不安な気持ち半分、白夜とアルコールの非日常でふわっとした気持ち半分、そしてあまりコミュニケーションができないわたしたちなので気も遣いながらの時間…。


「ちょっと待ってて!」

そう言って彼が公園の中に向かっていったかと思うと、

たわわに咲いているライラックをバキバキを折って(笑)、大きな花束にして、

「はい!」

とプレゼントしてくれました。


公園の花…だいじょうぶ?捕まらない? と不安もありましたが、

純粋に嬉しかったです

(ちなみに彼には愛する妻子がいましたので、特別な意味はなかったと思われます)。

まさに、こんな風に、咲いていました。

人生で一番、嬉しかった花束です。


ライラックといえば、ロシアの作曲家ラフマニノフが、『ライラック』というピアノ曲を作曲しています。

12歳までペテルブルクで過ごしたラフマニノフも、この写真のような景色を見ていたのだと思います。

⬇︎子どものピアノコースご紹介ムービーです。

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