発表会に思うこと
今回、多くの生徒さんとそのご家庭を巻き込んで、発表会を企画しているわけですが…。
実はわたしは、ちゃんとした発表会に出たことがありません。
子どもの頃、一番長く習っていた先生は、大変に地味で控えめな方で、
華やかな発表会ではなく、公団のご自宅でのホームコンサートでした。
ホームコンサートというか…昔の公団サイズの6畳にグランドピアノがあり、
子どもたちは廊下にひしめいてお姉さんたちの演奏を聴き、
お母さんたちがリビングで(演奏する姿は見られない)、持ち寄りパーティーの準備をしていた記憶があります。
わたしはこの会に2回出て、これだけが、子ども時代に人前でピアノを披露した機会でした
(2度受けたイギリス系のグレード試験と、合唱コンクールや卒業式など学校行事での伴奏とかでは弾いていましたが)。
音大に進学することになり、音大の夏期講習や入試、年に2度の実技試験×12回(音大4年間+研究科2年間)…
わたしが人前でピアノを弾いたのは、これだけだと思います。
初めて「舞台」の上でピアノを弾いたのは、音大に入学して初めての前期試験のとき。
そのときだけ、なぜか、試験会場が学校近くの小ホールで、
ショパンのバラードを弾き、撃沈したトラウマがあります。
娘ができて、娘の楽器でのオーディションや発表会での伴奏を何度かやり、
観に来てくれた家族や友人からは、
「〇〇ちゃん(娘)より緊張して怖い顔だったよ~」
と言われたものでした。
人前で弾くなんて! 発表会なんて!! (わたしには無理)
と、ずっと思っていましたが、
ピアノ教室を運営することになって、
生徒さんのために、発表の場を作ることの大切さを思って、
小さな発表会を重ねてきました。
大人、子ども、コントラバス…といろんな生徒さんが在籍していることで、
それぞれの方たちにご満足いただけるもの、それぞれの方たちが良かった!と思えるもの、
と考えていたら、
3部門別々にイベントを開催する、という方向性で、この数年間やってまいりました。
大人の生徒さんは、出る生徒さん同士の会、
子どもの生徒さんも、ご両親かおじいちゃまおばあちゃままで、
コントラバスの生徒さんは、2年に一度コントラバスの生徒さん同士で開催するほか、
ご興味ある方は大人・子どものイベントにもどうぞ、
といういわば「閉じた」発表の場としてきましたが、
一度くらい、教室全体で発表会をしてみようかな…
そう思って準備を進めているうちに、
教室全体での発表会の良さをどんどん実感してきました(遅い…)。
大人の生徒さんの中には、子どもの生徒さんのことを思いやって曲を選んだ方もいらっしゃいますし、
お手伝いも快くお引き受けくださいました。
子どもの生徒さんは、いつ・どこに自分が移動したらいいのか、しっかり覚えています。
クイズの係をお願いした子たちも、一人一人、責任感を持っている様子。
全員で歌う合唱に、大人の生徒さんには(特に男性には…)付き合っていただくのが申し訳ないような気持もありましたが、
大きな声で歌ってくださる方もいらっしゃるし、
最近は、男性の生徒さんが「楽譜ください」と言ってくださったり。
リハーサルのときに一緒になっただけだけれど、
それぞれが役割を理解していて、任せて安心なように見えました。
「友だちを呼ぶんだ!」とはりきっている子。
「友だちに話したら、来てくれるっていうのよ」と、恥ずかしそうに言うマダムは、
そうは言っても嬉しそう。
「誰にも来てもらうつもりはなかったけれど、荷物番をしてもらいたいから、姉に来てもらうことにしました」という大人の男性は、
荷物番と言いながらも、せっかくだから…と思っているご様子。
いつも地味目のリケジョも、誘ったらドレスを着ると言ってくれたし、
綺麗なのにいつも控えめな大人の生徒さんも、「せっかくだから、ヘアメイクもやってもらいます!」と。
もちろん、子どもの生徒さんは、「ドレス、ピンクもいいけど紫もいいなぁって迷っちゃう」と、楽しみにしている様子。
みんなが、いい意味で巻き込まれてくれて、発表会という場を楽しもうとしてくれていること。
しみじみと、嬉しいなぁ、ありがたいなぁ、と思います。
そして、こんなにこの日に向けて意識を向けている生徒さんたちと伴走してきて、
生徒さんたちのがんばりの成果を皆さんに観ていただきたいなぁという想いが、私の中に湧き上がってきています
(これ、わたし的にはびっくりな心境の変化です)。
正直な話…今まで、「うちの発表会、観て!」という意識が、わたしにはなかったのです。
むしろ、「来ないでいいから~」と、思っていました。
でもそれは、ある意味、生徒さんを守ってきたようで、囲ってぬるくしていたようにも思います。
今回の発表会 NMFノア音楽教室音楽祭は、大きな会場なので、どなたも来ていただくことができます。
生徒さんのお知り合いの方たち、もし良かったら、生徒さんたちの応援に、いらしてくださいね。
…とかいって、NMFは、なんと第1回目なので…どうぞ温かい目でお願いいたします。
うちの教室ならではのこの写真、好きです。
初めて会った、大人のピアノの生徒さんと、子どものコントラバスの生徒さんのツーショットです。
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